犬に食べさせてはいけない食品のひとつに、香辛料があります。
しかしどんな香辛料も犬に与えてはいけないわけではなく、犬に有益なものも多く存在します。

香辛料を薬膳的に言い換えると「薬味とハーブ・スパイス」です。
薬という文字が示すように、日本で言う薬味とは体に良い成分を多く含んでいるものがほとんどです。
ハーブやスパイスは西洋の薬味であり、少量でも体に高い効果を出すものです。
薬味、ハーブ・スパイスは、漢方薬の原料となっているものも少なくありません。

薬膳でよく使われる薬味はにんにく、生姜、しそ、みょうが、ごま、胡椒、からし、唐辛子、山椒などです。
刺激の強すぎる薬味は犬に与えてはいけないため、この中で犬に与えてはいけないものはにんにく、胡椒、からし、唐辛子、山椒です。

ハーブ、スパイスでは、香菜(パクチー、コリアンダー)、パセリ、ミント、バジル、フェンネル、タイム、セージ、ローズマリー、ナツメグ、シナモン、八角(スターアニス)、丁子(クローブ)、ウコン(ターメリック)、クミン、からし(マスタード)、胡椒(ペッパー)などでしょう。
こちらも刺激の強すぎるものは犬に与えるべきではありませんし、少量で効果のあるものですから与える場合も極少量にします。上記で犬に与えてはいけないハーブ、スパイスはからし(マスタード)、胡椒(ペッパー)です。

八角(スターアニス)、丁子(クローブ)も効果が高いですが、使用する場合は専門家の意見を仰ぐと良いでしょう。(八角は強力な抗ウイルス作用がありますが、新型タミフルの原料でもあるほどなので人より小さな犬には危険かもしれません。丁子(クローブ)も西洋では一般的に好まれるスパイスですが、甘い香りはとても強力で使う量が一日1~3gまでにした方が良いですし、麻酔作用があったり幼児や妊婦やのぼせ症の人は避けるようにと言われているのでご注意ください)

「薬味とハーブ・スパイス」は常時積極的に摂るものではありません。しかし少量でメニューを引き立て、薬のように働くので時々なら活用すると良いでしょう。

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薬味

生姜
特徴 体を温める。強肝に
栄養価は低いものの、体を温めるなどの薬効をもつ食材です。
干した生姜は、乾姜と呼ばれる漢方薬でもあります。
生の生姜の香りは胃液の分泌を促し、食欲不振に一役買います。
また生姜は免疫力アップに、癌予防に、老化防止にと色々な場面で活躍します。
特に生姜のおろし汁を犬の手作り食に数滴たらすと、肝臓の働きを助け強肝に役立ちます。

しそ
特徴 がん予防

しその香りのぺリルアルデヒドは食欲を促し吐き気の予防になります。
栄養価も高く特にベータカロテンは野菜の中でも群を抜いています。
活性酸素を除去しがん予防の食材として注目されています。

みょうが
特徴 食欲増進、消化を促す

食欲を湧きたたせ、消化を助ける効用があります。
解毒作用にも優れています。体内の塩分を排泄するカリウムを多く含みます。

黒ごま
特徴 肝や腎を助けるスタミナ食品

黒ごまは血(*1)と肝(*2)と腎(*3)を補い、精をつけるとされています。
外皮の色素である黒ごまポリフェノールは、抗酸化力が高く若返りを促すと言われます。
血流の改善を促すのは、黒ごまに含まれるセサミンやビタミンE。
これは心臓の働きを助け、便秘を解消し、骨を強化し、美肌にも役立ちます。
すりごまとして使うと吸収率が良くなります。

*1 「血」とは
漢方では体は「気」「血」「津」の3つから成り立っていると考えられています。この3つのうちのひとつが「血」で「血」は血液と血液が運ぶ栄養の事です。

*2 「肝」とは
漢方において「肝」とは西洋医学の肝臓とは作用が異なります。
肝は気の流れを通じて感情の調整や自律神経を司どり、体全体の機能を順調に働くように調整しています。
気血を体の中から隅々まで運び、発散する力を供給する機能を担っているのが肝です。
また気の巡りを順調に保つのも肝の役目です。

*3 「腎」とは
漢方で言う「腎」とは体の中でも重要な臓器のひとつです。
腎の働きは広範囲に及び、生殖や成長・発育、ホルモンの分泌、免疫系などの機能を担っています。そして体を循環する水分の代謝も行ないます。
腎の機能が衰えることは「精」が衰える事に繋がり、不妊、更年期障害、骨粗しょう症、健忘症、排尿のトラブルを始め体の他の組織にも悪影響を及ぼし免疫の低下にも繋がります。

白ごま
特徴 便通をよくする

黒ごまとは品種の異なる白ごまは、油分も多く便秘の改善に使われます。
体の熱を取り皮膚に潤いを与えます。
ごまの油分は不飽和脂肪酸(リノール酸、オレイン酸等)で、血中のコレステロールを減らし動脈硬化の予防につながります。抗酸化作用の高いセサミンも多く含みます。
湿気に弱いため高温多湿は避けます。黒ごま同様、すりごまとして使うと吸収率が上がります。

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ハーブ

香菜(パクチー、コリアンダー)
特徴 気を巡らせる(*4)

胃の働きを助けて消化を促します。
血液を浄化する働きもあります。
薬膳でもよく使われており、発汗作用によって発疹の改善、食あたりを防ぐなどの作用があります。
栄養価が高く、ベータカロテン、ビタミンC、カリウムなどが多く抗酸化作用は強力です。

*4 「気を巡らせる」とは
漢方では体は「気、血、津(体液)」の3つから成り立っていると考えられており、「血」は血液と血液が運ぶ栄養の事を指します。「血」や「津」を巡らせているのが「気」になります。「気」は生命を維持し活動するエネルギーのことであり、「気」には実態はありませんが、「血」や「津」をバランスよく循環させることにより体の機能を滞ることなく生命活動に導くことを気を巡らせると表現します。

パセリ
特徴 ビタミン、ミネラルの宝庫

ハーブの一種であるパセリは、ビタミンの種類と量がとても多い食材です。
またミネラルも多く、特に鉄は野菜の中でも群を抜いています。

ミント
特徴 のどの痛み、熱冷ましに

気の巡りを良くし(*4)、解毒、解熱作用があります。

*4 「気を巡らせる」とは
香菜(パクチー、コリアンダー)の項参照

バジル
特徴 のどの痛み、熱冷ましに

胃の働きを助け消化を促進します。
ベータカロテンと鉄分が豊富です。

フェンネル
特徴 胃を温め気を巡らせる(*4)

種は漢方薬としても使われるフェンネルです。
冷えを取り、胃の調子を整え、気の巡りを良くします。

*4 「気を巡らせる」とは
香菜(パクチー、コリアンダー)の項参照

タイム
特徴 強力な殺菌力。食中毒予防に

強力な殺菌作用を持っています。
咳や痙攣を鎮める働きもあります。
気を養い、胃腸の調子を整えます。

セージ
特徴 のどの痛み、生理不順に

殺菌力に優れており、のどの痛みや口内炎を緩和します。
セージの香りは、イライラを鎮めやる気を出させます。
疲労回復や胃を丈夫にする作用もあります。

ローズマリー
特徴 記憶力、集中力アップ

ローズマリーは記憶力と若返りのハーブとして有名です。
関節の炎症を抑えたり、血流の改善、胃腸の働きを助けるなどの効果もあります。

ナツメグ
特徴 脾と胃(*5)を温める、発汗を促す

ナツメグは体を温める働きに優れています。
デトックス、若返りにも効果があるとされています。
整腸作用もあり、下痢にも便秘にもどちらにも有効です。

*5 「脾」と「胃」
漢方で言う「脾」は全ての補給や運行に欠かせないもとなっており、食べ物や飲み物から栄養を吸収し、「気」となって全身に運ばれ、「胃」によって食べたものを下に下ろします。この二つがうまく働くことで食べ物は美味しく上手く消化できると考えられています。

シナモン
特徴 冷えを取る。五臓(*6)の活性化に

生薬名は肉桂(ニッケイ)と言い、様々な漢方薬に使われています。
ケイヒアルデヒドという成分が末梢血管を拡げ手足の先まで血を巡らせます。
体を温める作用は生姜以上とも言われています。
五臓の働きを活発にし、心を鎮めたりスタミナを付けるなどの効果もあります。

*6 「五臓六腑」とは
五臓とは、肝、心、脾、肺、腎を指し
六腑とは、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦(体内の空間)を指します。
五臓は栄養を蓄えて使い、六腑は口から入ったものを仕分けて五臓に送り、不要となったものを体の外に排出する働きを持っています。
漢方において「臓」と「腑」は臓器そのものだけでなく臓器の働きも指しています。

スパイス

ウコン(ターメリック)
特徴 肝臓の働きを助ける

漢方薬にもウコンは用いられます。
ウコンは肝臓の働きを強め、余分な脂肪の分解を促します。

クミン
特徴 消化を助け、胃腸に良い

カレーに欠かせないスパイスのひとつです。
エジプトでは、鎮痛剤や胃腸薬として用いられていました。
薬膳では消化を助け、胃痛や腹痛、下痢などを治す効用が知られています。

少しでも手作り犬ご飯のご参考になれば幸いです。

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