変化していく犬の病気

獣医師さんの勧めで、ドッグフードしか与えていないと仰る飼い主さんは大勢います。
ドッグフードは全て計算された完全食のように思っている人も少なくありません。

しかし一昔前の犬の病気と言えば狂犬病かジステンバー、フィラリアぐらいだったと思いますが、今では癌に始まり糖尿病から心臓病、皮膚疾患、花粉症まで…人間と同じ病気の犬が多い気がしないでしょうか。
猫も同様ですね。昔と今でどこがどう変化して、なぜそんなことになったのでしょう。

まるで人間のような病気が普及する前は、まだドッグフードは一般的ではなかったようです。
それでは果たしてドッグフードが普及するようになり、犬は健康になったと言えるのでしょうか?ドッグフードは完全栄養食なのでしょうか?

今回はその点について考えてみたいと思います。

まず最初に知っておかなければならないのは、日本の法律では、犬や猫は生き物として見られていないという事です。

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法律上は「物」であるペットに与えるフードの基準

日本の法律上では、残念ながら犬は家族ではありません。
車や鞄と同じように人の所有物という見方です。

かなり前の事件ですが、盲導犬のオスカー君(ラブラドール レトリバー)が何者かに刺されて怪我をした時の、犯人に対しての罪状は器物破損罪でした。「オスカー 盲導犬」などで検索すると多数ヒットします。(後にオスカー君は皮膚の病気だったと言われたりで、真相ははっきりしませんが…)
これはつまりもし犬に怪我をさせても、犬は「器物」であり物扱いだということです。心が痛む事件です。

このことからも分かるように犬は所有物扱いですから、人間で言う食品衛生法のような厳しい規制はドッグフードにはありません。

しかし法律としては、2008年6月に成立した「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」というものがあります。この法律には、ペットフードの基準や規格に合わせなければならないことや、有害な物質を入れてはいけないし、もし有害な物質が入っていれば破棄することを命じられると書かれています。


参考 環境省

このペットフード安全法の基準を満たせばドッグフードは合格となり、販売されます。

 

どこの業界でもそうですが、多くのメーカーではまず利益が優先されます。犬の健康も大事ですが、まずは利益を出さなければ企業として成り立たないためです。
中には何を置いても利益を第一に追求するメーカーもあり、そのドッグフードの中身には驚くものも存在します。

では、どんな原材料がドッグフードに使われているのでしょうか。

ドッグフードの原材料の現実

ドッグフードの原材料は大まかに分けて、

穀物類、でん粉類、油脂類、魚介や魚及び肉類、卵、野菜、果物、キノコ類、藻類、ミネラル類、アミノ酸類、乳類、ビタミン類

になります。
穀類、でん粉類では、新鮮なトウモロコシや小麦や米、芋等を砕いていると誰もが思う事でしょう。多くのドッグフードメーカーはそうだと思います。しかしより高い利益を出すためには、米なら値段の高い新米より古米、もう少し安い古古米、海外からの輸入米も使うことになるでしょう。

油脂類は日本のドッグフードの定義では、「全ての動物及び植物から得られる油脂及び加工油脂、脂肪酸類」となっています。これは後で述べるレンダリング工場で加工されたものも含まれるようです。

肉類は「動物の体又は体の一部から生じる全ての副生物及びその加工物」となっています。
一見すると何の問題もないように思いますが、よく考えるとつまりこれは何のことなのか、いまいちよく分からない書き方ですよね。

AAFCO(米国飼料検査官協会)はこのように肉副産物を定義しています。

「肺、脾臓、腎臓、脳、肝臓、血液、骨、および部分的に脱脂された低温脂肪組織、および内容物を含まない胃や腸など、と殺された動物の肉以外の精製されていないが清浄な部位」

…つまり「肉副産物」とは、「肉」そのもののことではありません。

レンダリング工場(畜産処理加工処理工場)で作られた油脂や肉片を使っています。
では、レンダリング工場とはいったいどんな工場なのでしょうか?

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レンダリング工場とは?

日本の畜産業界では、生産した牛、豚、鶏は、決められた屠畜場で食肉加工されます。

これが私たちがスーパー等で購入するお肉になるわけです。
しかし私たちが食べる部分以外に残る部分も存在します。

もうお分かりかもしれませんが、日本畜産副産物協会によると、屠畜場で食肉をとった残りがレンダリング工場に運ばれるとのことです。

ここで怖いのが、ドッグフードの原材料には病気の部分で食肉に適さない肉(日本の豚肉の4割近くは病変部位だと言われています)も含まれているようだということです。

本来破棄される病変部位も原材料となりうる

レンダリング工場で加工されたものを原材料として、ドッグフードの成分表示には肉類(ビーフミールやチキンミール)、油脂類(動物性油脂)、フェザーミールなどと表記されます。

これらは私たちが想像するスーパーに並ぶようなきれいなお肉ではありません。私たちの食卓に並ぶ食肉以外の部位を、全て砕いて細かくしたものです。

特に気になるのはこの原材料の中に、もともと病変部分であったものが使われることもあるということです。

病変部位の多くがペットフードに回されることについて、第169回国会環境委員会では議論が交わされました。


参考 国会会議録探索システム 加工済


参考 国会会議録探索システム 加工済

大豆ミールも油を摂った残りかすの部分なので、栄養的にどうかという意見もあります。海外からの輸入大豆なら遺伝子組み換え、ポストハーベスト等々の問題もあります。
チキンミールも私たちが日ごろ口にしない部分が含まれている可能性は否定できません。フェザーミールはいわゆるフェザー(羽)を細かく砕いたものです。

「総合栄養食」という表示の実際

ところで日本ではフードと水だけで犬の栄養と健康を十分維持できるとされ、総合栄養食と表示して良いことになっています。(病気の犬に与えるフードは特別療法食と言います)
が、この日本式の総合栄養食の表示は、そのペットフードの最終製品が栄養基準を満たしていなくても、動物実験において適切さが確認されれば総合栄養食の表示が可能であるとされています。
ということは、総合栄養食と書かれていても本当かどうかはわからないとも言えますね。気になる方は納得するまで製造元に確認などしても良いかもしれません。

 

もちろん愛犬への健康が注目されている今、原材料にこだわった健康的なドッグフードもかなり多く普及してきています。しかしまだまだ「犬の食べ物はドッグフード」であり「ドッグフードなら何でも良い」という考え方の飼い主さんも多いのです。

ドッグフード選びの際に原材料の成分を確認したとしても、よくわからず不安になることもあるでしょう。そんな時は愛情たっぷりの手作り食という手もあります。
犬には食べられない食材もありますから、本などを参考にされるのも良いかもしれません。

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