微量栄養素であるビタミンは犬にとっても重要です。
体内の物質代謝をスムーズに行うための代表的なものがビタミンです。
体の成分になったりエネルギーになるわけではありませんが、酵素の働きを助け、体を動かしたり消化を助けたりなど、代謝を促すことに使われます。
大きく水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンのふたつに分類される、生命に欠かせない栄養素です。
水溶性ビタミン
水溶性ビタミンは名前の通り、水に溶ける性質を持つビタミン類のことです。
水溶性ビタミンは摂り過ぎたとしても、大部分が早く体外に排出されるため過剰症のリスクは少ないと言えます。
その反面水溶性ビタミンを含む食材は、水に晒しすぎると栄養素が溶け出てしまいます。効率的に摂取したい場合、じっくり蒸したり油で調理したり汁ごと与えるなど、調理や食事方法に注意が必要です。
水溶性ビタミンの種類は9種類となっています。
ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パンテトン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC |
水溶性ビタミンを多く含む食材はインゲン豆、アスパラガス、キャベツ、ブロッコリー、さつまいも、豚肉、大豆、玄米、いわしなどです。
ビタミンC、ビタミンBについて
犬は体内でビタミンCを作ることができます。
ストレスを受けた時は肝臓に蓄えられたブドウ糖からアスコルビン酸(ビタミンC)を生成して対応します。(余談ですが、多くの哺乳動物は体内でビタミンCを生成できますが、人間は体内でビタミンCを生成できないごくまれな生き物です)
体内で使用されずに残ったビタミンCは、シュウ酸塩となり尿から排泄されますが、シュウ酸塩は結石を作る恐れがあるため与えすぎには注意が必要です。
またビタミンB郡のほとんどは犬の腸内細菌によって作られます。
しかし抗生物質を与えられている犬は腸内細菌が死滅、または働きが弱まっていることがあるため、その場合は腸内フローラを増やすためのプロバイオティクス、プレバイオティクスの食品、サプリメントも有効です。
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脂溶性ビタミン
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKは脂溶性ビタミンと呼ばれています。油に溶けるビタミンなので、油に溶かすと効率的に摂取できます。
ビタミンA
ビタミンAは主に視力など眼の健康に関係するビタミンです。
犬はビタミンAを植物のカロチノイドから化合することができます。
またレバーをはじめ、魚油、にんじん、かぼちゃ、ピーマンなどはビタミンAの多い食品です。これらの食品から犬はビタミンAを体に摂り入れます。
しかしコッカースパニエルの中にはビタミンAを生成する力を持たない子もいて、皮脂の過剰分泌に繋がることもあるので注意が必要です。
気になる方は動物病院で検査などしてもらい、ビタミンAの生成ができるのかどうか調べてみると良いでしょう。
ビタミンD
ビタミンDは犬の皮膚内で合成できます。
レバーやいわし、かつお、サンマ、しいたけ、まいたけなどに多く含まれます。
カルシウムの吸収を助ける働きがあるからと、ビタミンDを過剰に摂取してしまうこともよくあります。しかしビタミンDの過剰摂取は骨格の変形に繋がるので注意が必要です。
ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があります。他にもビタミンEは皮膚の炎症を抑えたり、心臓、血管、神経に良い影響を与えます。
ストレスの多い犬種、狩猟犬や牧羊犬のように重労働をする犬には、ビタミンEを多めに与えると良いでしょう。
オリーブオイル、大豆油やひまわり油、さつまいも、かぼちゃなどに豊富です。
ビタミンK
ビタミンKは血液の凝固を促します。
ある程度は犬の腸内で作られるので、一般的にはビタミンK不足はほとんど起こりません。
しかし稀ではありますが、長期にわたり抗生物質を使っている犬にはビタミンKを補ってあげなければなりません。
ビタミンKの豊富な食材はにんじん、ブロッコリー、キャベツ、大根の葉、納豆、海藻類などです。
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ビタミンはバランスよく
ビタミンは種類も多く、食材も多岐に渡ります。
「結局何を食べさせたらいいの?」と迷う方もいらっしゃるのではと思います。
そんな場合は逆に「与えないもの」を明確にしてみるのも一つの方法です。
犬が食べられない食材はもちろんのこと、添加物の豊富なおやつ、肉だけ、野菜だけといった「~~だけ」という偏った食事。こういったものは与えない方が良いでしょう。
「~~だけ」については、たとえば野菜にしても「きのこだけ」「キャベツだけ」「大根だけ」と、1種類だけを何ヶ月にも渡り与え続ければ、栄養素的に偏るため健康的とは言えません。
「今日はたまたま冷蔵庫に豚肉があった、にんじんもある、ピーマンも、セロリも、いわしも…」
というように少しずつの食材を数種類ローテーションで与えてあげれば、難しい栄養価計算なんてしなくても、おおよそバランスの良い食事になるのが一般的です。
少しでも犬の手作り食のご参考になれば幸いです。